インプラントの寿命は何年?〜20年以上保つ秘訣と長持ちさせる5つのポイント
インプラントの寿命は何年?〜20年以上保つ秘訣と長持ちさせる5つのポイント
インプラント治療を検討されている方、あるいはすでに治療を受けられた方にとって、「インプラントはどれくらい持つのか」という疑問は非常に重要です。
高額な費用をかけて治療を受けるからには、できるだけ長く使い続けたいと思うのは当然のことでしょう。実際、インプラントの寿命は適切なケアとメンテナンス次第で大きく変わってきます。
この記事では、インプラントの平均的な寿命から、20年以上保つための秘訣、そして長持ちさせるための具体的な5つのポイントまで、池田歯科医院での治療経験をもとに詳しく解説していきます。インプラント治療を成功させ、長く快適に使い続けるための重要な情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。

目次
インプラントの平均寿命はどれくらい?
インプラントの寿命について、まず知っておいていただきたいのは「適切なケア次第で大きく変わる」という点です。
一般的に、インプラントの平均寿命は10年から15年程度とされています。しかし、これはあくまで平均値であり、適切なメンテナンスと日々のケアを継続することで、20年以上、さらには30年以上使い続けることも十分に可能です。
厚生労働省の調査によると、インプラントの10年から15年後の生存率は上顎で約90%、下顎で約94%と報告されています。また、骨移植を伴うケースや抜歯後すぐにインプラントを埋入したケースでも、87%から92%程度の高い生存率を示しています。
興味深いことに、インプラント治療の始祖であるブローネマルク博士が1965年に最初に治療を行った患者のインプラントは、その方が亡くなるまでの41年間、口腔内でしっかりと機能し続けたという記録があります。これは、インプラントが適切に管理されれば、非常に長期間使用できることを示す好例です。
インプラントの平均寿命と他の治療法との比較
インプラントの寿命を理解するうえで、他の治療法と比較することも重要です。
入れ歯の寿命
一般的に3年から5年程度とされています。プラスチック製の土台は劣化しやすく、定期的な作り直しが必要になります。また、部分入れ歯の場合、クラスプ(バネ)をかけた歯に余計な力がかかり、その歯の寿命を縮めてしまう可能性もあります。
ブリッジの寿命
7年から8年程度です。ブリッジは失われた歯の両隣を土台にして人工歯を装着する方法ですが、土台となる健康な歯を削る必要があるため、その歯が弱くなってしまいます。さらに、ブリッジには食べかすや歯垢が溜まりやすい部分があり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
こうした比較から見ても、インプラントは他の治療法に比べて圧倒的に長持ちする治療法といえます。初期費用は高額になりますが、長期的な視点で見れば、費用対効果に優れた選択肢なのです。
当院での実績と保証制度
池田歯科医院では、オステムデジタルセンターとの連携による高精度なシミュレーションと診断を行い、オステムワンガイドを使用した精度と安全性の高い手術を実施しています。
使用するインプラントは、オステム社製のインプラントで、高品質かつ世界的に認められた製品です。さらに、植立したインプラントが骨とどれだけ安定して結合してきているかを正確に測るIS3CHECKERを用いて、インプラントの安定性を評価し、無駄な待機期間を排除し最適な荷重タイミングを確認できることにより治療期間の短縮を図っています。
また、ガイドデント株式会社との業務提携により、インプラント10年保証制度を設けており、保証期間内であればインプラント体の脱落や破折、上部構造の破損が発生した場合に一度無償で再治療を受けられます。ただし、定期的なメンテナンスを受けていただくことが保証の条件となります。
インプラントの寿命を縮める主な原因

インプラントが長持ちしない場合、いくつかの明確な原因があります。
これらを理解し、適切に対処することが、インプラントを長く使い続けるための第一歩となります。
インプラント周囲炎のリスク
インプラントの寿命を縮める最大の原因は「インプラント周囲炎」です。これは、天然歯における歯周病に相当する疾患で、インプラント周囲の歯肉や骨が炎症を起こし、徐々に破壊されていく状態を指します。
インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支える骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが脱落してしまうこともあります。天然歯同様インプラントも適切なメンテナンスが必要です。
インプラント周囲炎の主な原因は、歯垢や歯石の蓄積による細菌の増殖です。「インプラントだから安心」という考えは危険で、天然歯以上に丁寧なメンテナンスが必要になります。
生活習慣による影響
喫煙はインプラントの寿命を大きく縮める要因の一つです。たばこに含まれるニコチンは血行を悪化させ、免疫力を低下させます。その結果、歯ぐきの炎症が起こりやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。喫煙者は非喫煙者に比べて、インプラントの失敗率が明らかに高いというデータも一部 いあります。
また、歯ぎしりや食いしばりの癖も、インプラントに大きな負担をかけます。歯ぎしりでは体重の倍以上の力が特定の場所にかかるため、日常的に行っていると、インプラントが破損してしまうこともあります。噛み合わせに異常がないか、定期的にチェックすることが重要です。
メンテナンス不足の影響
定期的なメンテナンスを受けていない場合、インプラントの寿命は大幅に短くなります。自宅でのセルフケアだけでは、インプラント周囲の歯石や汚れを完全に除去することは困難です。
歯科医院での定期検診では、インプラントの状態確認、噛み合わせの調整、専門的なクリーニングなどを行います。これらは、インプラントを長く健康に保つために欠かせない要素です。当院では、6か月ごとの定期メンテナンスをお勧めしています。
インプラントの寿命を20年以上保つための5つのポイント
ここからは、インプラントを20年以上長持ちさせるための具体的な方法をご紹介します。
これらのポイントを実践することで、インプラントの寿命を大幅に延ばすことができます。
ポイント1:毎日の丁寧なセルフケア
インプラントを長持ちさせるための最も基本的で重要なポイントは、毎日の丁寧な歯磨きです。インプラント専用の歯ブラシやフロス、歯間ブラシを活用し、インプラント周囲の汚れをしっかりと除去しましょう。
特に、インプラントと歯ぐきの境目、インプラントと隣の歯の間は汚れが溜まりやすい部分です。これらの部分を重点的に清掃することが大切です。市販の洗口液だけでは不十分なので、歯科専用のケアアイテムを活用することをお勧めします。
また、食生活もインプラントの健康に影響します。カルシウムやビタミンDなど、骨や歯周組織の健康を維持する栄養素を積極的に摂取することで、インプラント周囲の組織を強化できます。
ポイント2:定期的なプロフェッショナルケア
歯科医院での定期的なメンテナンスは、インプラントの寿命を延ばすために不可欠です。当院では、インプラントメンテナンス(5,500円)として、専門に訓練を受けた歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングを提供しています。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)と呼ばれる専門的なクリーニングでは、セルフケアでは落とせないバイオフィルムや歯石を徹底的に除去します。インプラント周囲の歯石は、通常の歯石取りでは不十分で、インプラント専用のケアが必要です。
定期検診では、インプラントの安定性、噛み合わせの状態、歯ぐきの健康状態などを総合的にチェックします。問題を早期に発見し、適切に対処することで、インプラントの寿命を大幅に延ばすことができます。
ポイント3:喫煙を控える
前述の通り、喫煙はインプラントの大敵です。
インプラント治療を受ける際、また治療後も、できる限り禁煙することを強くお勧めします。どうしても禁煙が難しい場合でも、本数を減らす努力をすることで、リスクを軽減できます。
インプラントへの投資を無駄にしないためにも、禁煙に取り組むことが肝要です。
ポイント4:歯ぎしり・食いしばりへの対策
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガード(マウスピース)の使用、ボトックスによる過剰な咬合力のコントロールをお勧めします。就寝中に装着することで、インプラントへの過度な負担を軽減しボツリヌスは食いしばりによるインプラントや自分の歯への過度な負担をコントロールする作用があります。
また、日中の食いしばりに気づいたら、意識的にリラックスするよう心がけましょう。ストレス管理も、歯ぎしりや食いしばりを減らすために重要です。
定期検診で噛み合わせをチェックし、必要に応じて微調整を行うことで、インプラントへの負担を最小限に抑えることができます。
ポイント5:全身の健康管理
糖尿病や高血圧などの全身疾患は、インプラント周囲炎のリスクを高めます。これらの疾患をしっかりとコントロールすることが、インプラントの寿命を延ばすことにつながります。
また、免疫力を維持するために、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることも大切です。口腔内の健康は全身の健康と密接に関連しているため、総合的な健康管理がインプラントの長期的な成功につながります。
当院のインプラント治療へのアプローチ

池田歯科では、インプラントを長持ちさせるために、治療の段階から様々な工夫を行っています。
高精度な診断と治療計画
当院では、オステムデジタルセンターとの連携により、CTから得られたDICOMデータ、口腔内スキャナーから得られたSTLデータを送信し、使用予定のインプラントのデータが反映された極めて高精度なシミュレーションデータを製作します。
患者様ごとの顎の骨の硬さや形状、神経の配置などを詳細に確認しながら、インプラントの適した埋入位置を診断します。この診断から手術後まで包括的にサポートする新しいインプラント治療支援システムにより、治療の成功率を高めています。
ガイドサージェリーによる精密な手術
製作されたシミュレーションデータを基に、高精度なサージカルガイドであるオステムワンガイドを製作します。骨の硬さは一様ではなく、歯茎には目印がついていません。当院では、インプラント植立手術において特に精度と安全性に拘り、自信を持ってオステムワンガイドを使用しています。
この「ガイドサージェリー」により、計画通りの位置に正確にインプラントを埋入することができ、長期的な安定性を確保できます。
安定性の評価と治療期間の最適化
当院では、オステムIS3インプラント安定性測定器を使用しています。ISQ値(インプラント安定指数)を測定し、植立したインプラント体の安定性を評価します。
この評価に基づき、インプラントの上部構造製作にとりかかるタイミングを計画することができます。インプラント植立直後に測定し安定した数値であれば上顎、下顎問わず、2か月経過後に再度ISQ値を測定し変わらず安定が確認されれば即上部構造製作に取り掛かり、3か月以内で治療を完了いたします。
再生医療による治癒促進
当院では、インプラント手術後の治癒を促進させるため、再生医療(CGF、AFG)を採用しています。これは、採血した静脈血(約40ml程度)から遠心分離により得られる高濃度の血小板や白血球、成長因子を含んだ濃縮血小板フィブリンゲルです。
この治療法の再生骨や歯周組織の再生力を高め創傷の治癒を促進いたします。完全自己血由来でアレルギー反応の心配が無いので安全性が高く、低コストで非常に有用です。
よくある質問(Q&A)
Q1. インプラント治療は痛いですか?
手術は局所麻酔を使用するため、痛みはほとんど感じません。術後に軽い腫れや痛みを感じることがありますが、通常数日で治まります。また当院では、95%以上の方がセデーション(静脈内鎮静法)を選択されており、手術の恐怖心や不快感を抱かずに精神的にも非常にリラックスした状態で治療を受けていただけます。
Q2. インプラントは誰でも受けられますか?
基本的には多くの方が受けられますが、全身疾患や骨の状態によっては適さない場合もあります。詳しくはカウンセリングでご相談ください。当院では、患者様一人ひとりの状態を詳細に診断し、最適な治療計画をご提案いたします。
Q3. インプラント治療後に何か制限はありますか?
術後は、数日間は固い食べ物や刺激物を避ける必要があります。また、術後の1週間程度はアルコールや喫煙を控えることを推奨します。これらの制限を守ることで、治癒が促進され、インプラントの長期的な成功につながります。
Q4. メンテナンスの頻度はどれくらいですか?
6か月に1回の定期メンテナンスをお勧めしています。ただし、口腔内の状態によって最適な受診スケジュールは異なります。症状が出てからでは遅いため、定期的なメンテナンスが重要です。
Q5. インプラントの費用はどれくらいかかりますか?
当院では、インプラント1歯あたり198,000円(税込)、アバットメント33,000円、上部構造費用(臼歯77,000円、前歯99,000円)となっています。また、必要に応じて再生医療、セデーションなどのオプション費用が発生します。詳細については、カウンセリング時に丁寧にご説明いたします。
まとめ〜インプラントの寿命を最大化させるために
インプラントの寿命は、適切なケアとメンテナンス次第で大きく変わります。
平均的には10年から15年程度ですが、20年以上、さらには30年以上使い続けることも十分に可能です。インプラントを長持ちさせるためには、毎日の丁寧なセルフケア、定期的なプロフェッショナルケア、禁煙、歯ぎしり対策、全身の健康管理という5つのポイントが重要です。
池田歯科医院では、高精度な診断と治療計画、ガイドサージェリーによる精密な手術、安定性の評価、再生医療による治癒促進など、インプラントを長持ちさせるための様々な取り組みを行っています。また、10年保証制度により、患者様に安心して治療を受けていただける環境を整えています。
インプラント治療をご検討の方、すでに治療を受けられた方も、ぜひ定期的なメンテナンスを継続し、インプラントを「一生もの」にしていきましょう。
当院では、インプラント治療に関するカウンセリングを実施しています。インプラントの寿命や治療方法、費用について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。



