implant

インプラントの再治療|他院修正で知っておくべき7つのこと

インプラントの撤去〜再治療が必要になる主な原因とは?

インプラント治療は、適切な治療とケアが行われれば長期間安定して機能しますが、残念ながら撤去が必要になるケースも存在します。

インプラントの再治療の原因〜インプラント周囲炎

インプラント周囲炎の進行は、撤去に至る最も一般的な原因の一つです。これは歯周病に似た病気で、インプラント周囲の歯肉や骨に炎症が起こり、進行すると骨が溶けてインプラントを支えきれなくなってしまいます。

インプラントの再治療の原因〜インプラントと骨の結合不足

インプラントと骨の結合不良も大きな問題です。これは手術時の過度の熱発生(オーバーヒート)や、植立位置・角度の不適切さが原因となることが多いです。このような場合、インプラントがグラグラと動いたり、痛みを感じたりすることがあります。

インプラント本体の破損やアレルギー反応、周辺組織の損傷なども撤去の理由となり得ます。

重要なのは、これらの問題に早期に気づき、適切な対応を取ることです。放置すればするほど、状況は悪化し、再治療が難しくなってしまいます。

インプラント撤去手術の実際と注意点

インプラント撤去手術は、植立手術以上に高度な技術と判断力を要する繊細な処置です。私が長年の臨床経験から言えることは、撤去手術は決して簡単なものではないということ。むしろ、植立よりも難しい場合が多いのです。

撤去手術の方法は、インプラントの状態によって大きく異なります。

インプラント周囲炎が進行して骨が溶けている場合の撤去

比較的容易に撤去できることがあります。

インプラントが骨にしっかりと結合している場合の撤去

特殊な器具を使用して慎重に骨を削りながら撤去する必要があります。

手術の痛みについては、局所麻酔を十分に行いますので、手術中の痛みはほとんど感じません。当院では患者さんの不安や恐怖心を和らげるため、必要に応じて静脈内鎮静法(セデーション)も提供しています。

インプラントの撤去後

骨の状態によって再治療の方針が決まります。骨が十分に残っている場合は、適切な治癒期間を経て再植立が可能なこともあります。しかし、骨が大きく失われている場合は、骨造成(骨の再生治療)が必要になることが多いです。

インプラント撤去手術の費用

自由診療となり、医院によって費用は異なるケースがほとんどです。ただし、他院で植立したインプラントを撤去する場合、健康保険が適用されることもあります。

インプラント撤去を検討されている方は、撤去手術の実績がある歯科医師を選ぶことが重要です。インプラントを植立できる医師であれば誰でも撤去できるわけではありません。経験と技術を持つ専門医に相談することをお勧めします。

インプラント再治療の選択肢と成功のポイント

インプラントを撤去した後の再治療には、いくつかの選択肢があります。どの方法を選ぶかは、骨の状態、全身の健康状態、患者さんの希望など、様々な要因を考慮して決定します。

インプラント再植立の可能性と条件

インプラント撤去後、骨の状態が良好であれば、同じ部位に再びインプラントを植立することが可能です。ただし、撤去の原因がインプラント周囲炎だった場合は、感染のリスクを避けるため、十分な治癒期間を設けることが重要です。

骨の量が不足している場合

骨造成(GBR)や再生医療(CGF、AFG)などの処置が必要になることがあります。当院では患者さん自身の血液から得られる成長因子を含んだ濃縮血小板フィブリンゲルを使用して、骨や歯周組織の再生を促進する治療も行っています。

再治療の成功率を高めるためには、撤去の原因を正確に把握し、それに対応した治療計画を立てることが不可欠です。例えば、以前の治療で植立位置や角度に問題があった場合は、CTを活用した精密な診断と、サージカルガイドを用いた正確な植立手術が有効です。

インプラント治療以外の選択肢

インプラントの再治療が難しい場合は、ブリッジや入れ歯などの代替治療も検討します。特に全身疾患がある方や、骨の状態が著しく悪い場合は、侵襲の少ない治療法が適している場合があります。

それぞれの治療法にはメリット・デメリットがありますので、患者さんの口腔内の状態や生活スタイル、予算などを考慮して、最適な選択をサポートします。

再治療においては、初回の治療以上に慎重な計画と高度な技術が求められます。当院では、オステムデジタルセンターとの連携による精密な診断分析や、オステムワンガイドを使用した正確な手術など、最新のシステムを導入して再治療の成功率向上に努めています。

インプラント撤去・再治療における7つの重要ポイント

長年インプラント治療に携わってきた経験から、患者さんが他院修正を検討する際に知っておくべき重要なポイントを7つにまとめました。

1. 専門医の選択が最重要

インプラントの撤去と再治療は、通常のインプラント植立以上に高度な技術と経験が必要です。インプラント治療の専門的な資格を持つ歯科医師を選ぶことをお勧めします。当院では、複雑な症例にも対応できるよう、常に最新の知識と技術の習得に努めています。

2. 徹底した検査と診断

再治療の成功には、失敗の原因を正確に把握することが不可欠です。CTスキャン、口腔内スキャナー、レントゲン検査などを駆使して、骨の状態や周囲組織の状況を詳細に評価します。当院では、オステムデジタルセンターとの連携により、高精度な診断分析を行っています。

3. 個別化された治療計画

再治療においては、「一人ひとりに最適な治療」が特に重要です。年齢、全身疾患の有無、骨の状態、生活習慣など、様々な要素を考慮した上で、オーダーメイドの治療計画を立てます。

4. 適切な治癒期間の確保

撤去後の再治療では、十分な治癒期間を設けることが重要です。特にインプラント周囲炎による撤去の場合、感染のリスクを避けるため、骨や周囲組織の完全な回復を待つ必要があります。焦らず、適切なタイミングで次のステップに進むことが長期的な成功につながります。

5. 再生医療の活用

骨の量が不足している場合、再生医療技術を活用することで治療の可能性が広がります。当院では、CGF(濃縮成長因子)やAFG(自己フィブリンゲル)などの再生医療を取り入れ、骨や歯周組織の再生を促進しています。これにより、以前は治療が難しかった症例でも良好な結果を得られることがあります。

6. 精密な手術テクニック

再治療では、残された骨を最大限に活用する精密な手術が求められます。当院では、オステムワンガイドというサージカルガイドを使用することで、計画通りの正確なインプラント植立を実現しています。また、オステルIを用いてインプラントの安定性を客観的に評価し、最適な荷重タイミングを判断します。

7. 長期的なメンテナンス体制

再治療後も定期的なメンテナンスが不可欠です。特に一度トラブルを経験した方は、より慎重なケアが必要です。当院では、インプラントの状態を定期的にチェックし、問題の早期発見・早期対応に努めています。また、ホームケアの指導も丁寧に行い、患者さん自身による適切なケアをサポートしています。

インプラント撤去・再治療に関するよくある質問

Q1: インプラントの撤去は痛いですか?

局所麻酔を十分に行いますので、手術中の痛みはほとんど感じません。不安や恐怖心が強い方には、セデーション(静脈内鎮静法)も提供しています。術後は多少の腫れや痛みが生じることがありますが、処方された薬を服用することで軽減できます。

Q2: インプラント撤去後、すぐに再植立できますか?

撤去の原因や骨の状態によって異なります。骨の状態が良好で感染がない場合は、即時再植立が可能なこともあります。しかし、インプラント周囲炎による撤去の場合は、感染のリスクを避けるため、十分な治癒期間(通常3〜6ヶ月)を設けることをお勧めします。

Q3: 再治療の成功率はどのくらいですか?

適切な診断と治療計画に基づいて行われた再治療の成功率は、初回の治療とほぼ同等と考えられています。ただし、骨の状態や全身疾患の有無、喫煙習慣などの要因によって個人差があります。当院では、精密な診断と最新の技術を駆使して、再治療の成功率向上に努めています。

Q4: インプラント撤去・再治療の費用はどのくらいかかりますか?

費用は症例の難易度や必要な処置によって異なります。基本的には、インプラント1本あたりの撤去費用に加え、再植立のための費用(インプラント本体、アバットメント、上部構造など)が必要です。また、骨造成や再生医療などの追加処置が必要な場合は、それらの費用も発生します。詳細な費用については、診断後に個別にご説明いたします。

合わせて読みたい:インプラント費用の分割払い対応~負担を軽減する支払い方法

Q5: 再治療ではなく、ブリッジや入れ歯を選択することもできますか?

はい、もちろん可能です。インプラント、ブリッジ、入れ歯それぞれにメリット・デメリットがありますので、患者さんの口腔内の状態や希望、予算などを考慮して、最適な治療法を一緒に検討します。

まとめ:インプラント撤去・再治療を成功させるために

インプラントの撤去と再治療は、決して望ましい状況ではありませんが、適切に対応することで口腔の健康と機能を回復することができます。

今回ご紹介した7つのポイントを踏まえ、経験豊富な専門医による徹底した検査と診断、個別化された治療計画、適切な治癒期間の確保、再生医療の活用、精密な手術テクニック、そして長期的なメンテナンス体制が、再治療の成功には不可欠です。

インプラントのトラブルでお悩みの方は、早めに専門医に相談することをお勧めします。早期発見・早期対応が、より良い治療結果につながります。

インプラント治療は「一度で終わり」ではなく、定期的なメンテナンスが長期的な成功の鍵となります。特に再治療を受けた方は、より慎重なケアが必要です。当院では、患者さん一人ひとりに合わせたメンテナンスプログラムを提供し、長期的な口腔の健康をサポートしています。

インプラントの撤去・再治療についてご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

著者情報

池田 丈博

所属学会・資格

  • IDIAインプラント学会認定医
  • 日本歯科先端技術研究所所属
  • 日本口腔インプラント学会所属
  • 日本顎咬合学会所属
  • Fundacion Dr Garg:3Day Live patient Post Graduate course in Dominican Republic 修了
  • 2019 AII(Advanced Implant Institute of Japan)外科実習・ライブオペ6日間コース修了
  • 2020 AII(Advanced Implant Institute of Japan)外科実習・ライブオペ6日間コース
  • 日本口腔インプラント学会認定講習会(100時間セミナー)修了
  • JIADS PerioコースおよびDGPコース修了
  • OSSTEM OneGuideコース、GBR、Sinus Basicコース修了
  • SBC歯周形成外科コース、Sinus Approachコース修了
  • ILSC即時荷重研究会所属
  • マイクロスコープハンズオンセミナー修了
  • 日本口腔外科学会所属
  • 日本口腔内科学会所属
  • 嵌植義歯研究会所属



池田歯科医院

Contact

伊達市にお住いの方で、
歯のことでお困りでしたら、
お気軽にご相談ください。

通院中でご予約される方は、
治療の流れで必要になる器材や要する時間、担当者が変わるため、お電話でのご予約をお願いいたします。